信じる事で願いを叶えた男性のお話

彼は、もう何も信じられなくなっていました。

愛する人からブロックされ、二人の関係は完全に終わったように見えていました。「もう無理だと思います。彼女の気持ちは二度と戻らないと思います。でも、それでも好きなんです。どうしても諦められないんです」と彼は言いました。

彼自身、心理学のプロで、たくさんの人の心に関わってきた人です。インナーチャイルドの癒しや手放しなど、自分自身と向き合うこともたくさんしてきました。それでも現実は変わりませんでした。むしろ「あの時あんなことをしたから」「自分にはこんな傷があるから」と、過去の中に答えを探し続けていたのかもしれません。

私は彼の話を聞きながら、ふと思いました。

私たちは、過去に力を与えすぎているのではないだろうか。

そこで私は彼に、「過去が、そのまま未来を決めるわけではないと思いますよ」と伝えました。彼は少し驚いて、「でも、現実はこうなっています」と言いました。

確かに、その時の現実だけを見れば、希望を持てるような状況ではありませんでした。もちろん、相手が距離を求めているときは、その意思や境界を尊重することが大前提です。でも、それと「だから、この先もずっと何も変わらない」と未来まで決めてしまうことは、別の話だと思うのです。

「今、何かを無理に動かそうとしなくてもいいと思います。ただ、過去を理由に未来まで閉じなくてもいいんじゃないですか」

過去に何があったとしても、未来まで同じである必要はありません。人の気持ちも変わります。自分自身も変わります。状況も変わります。そして人生には時々、「そんなことが起きるなんて」と思うような展開があります。

彼はしばらく黙ったあと、「じゃあ、未来まで諦めなくてもいいんですね」と言いました。私は「そう思います」と答えました。

それから彼は、彼女を追いかけることをやめ、しばらく自然の中で過ごしたそうです。未来を無理に動かそうとするのではなく、自分の時間を生き始めたのだと思います。

そして数週間後、突然彼から連絡がありました。

「彼女から連絡が来ました」

私も驚きました。あれほど彼との関係を拒絶していた彼女の方から、何事もなかったかのように「久しぶり」と連絡が来たというのです。

なぜ、そのタイミングだったのか。彼女の心の中で何が起きたのか。それは彼女にしかわかりません。だから私は、「彼が信じたから彼女が変わった」とは言い切りません。

ただ、一つだけ言えるのは、あれほど「もう終わった」と思っていた未来が、終わってはいなかったということです。

その後、二人は再び会うようになり、関係をやり直すことになりました。そして最終的には、結婚することになったそうです。

彼が後から言った言葉が、今でも印象に残っています。

「僕は、過去を見て未来まで決めていたんですね」

本当にそうなのかもしれません。

私たちは今の現実を見て、「この先もきっとこうだ」と思ってしまいます。過去に失敗したから。一度嫌われたから。一度別れたから。何年も叶わなかったから。だから、これからも無理だろう、と。

でも、それはまだ起きていない未来です。

私は最近、過去と未来を、もっと切り離して考えてもいいのではないかと思っています。過去を癒さなければ未来へ行けないわけでもない。すべてのブロックを外さなければ幸せになれないわけでもない。過去を完璧に整理しなくても、「私はこれからどうなりたい?」と未来を選ぶことはできます。

聖書には、「あなたの信じたとおりになるように」という言葉があります。私はこの言葉が好きです。

これは、「信じれば誰かを自分の望む通りに変えられる」という意味ではないと思います。誰かの心をコントロールすることはできません。でも、自分の未来を最初から閉じないことはできます。

「もう無理」ではなく、「まだ、わからない」。

それだけでもいいのです。

もしかすると奇跡とは、何かを必死に起こすことではなく、まだ見えていない未来のために、自分で扉を閉めないことなのかもしれません。

過去は、過去です。未来は、まだ決まっていません。

だから私は、過去を何度も振り返るより、「私はこれから、どんな世界を見たいのだろう」と考えていたいのです。

未来は、過去の続きでなくてもいい。

私は今、そんなふうに思っています。